下肢の痺れ

以下は、カイロプラクティックにおける検査・判断によるレポートとなります。
また、クライアント様から了承を得たもののみ掲載させていただいております。

 

 

Oさん 女性 30代
既往歴 以前事故に遭ってから左大腿前面が痺れている
鉄欠乏性貧血
動脈硬化

主訴:急性の左大腿後面痛

以前から左大腿前面の痺れは感じていたが、それが3日前に突然大腿後面痛が起こって不安になり来院。原因は思い当たらないとの事だが、これまでも長く立っていると腰が痛くなることがあったため、それが脚に来たのかな?(ちょうど3日前に子供の野球の応援で寒い中長く立っていた)との事。
前面の痺れのように、ずっと治らないのではないかと不安を感じている。
病院にはかかっていないとの事だが、かなり痛そうなので、検査次第では病院をおすすめしますとの事で、了承をいただき施療に入る。

 

【検査所見】
視診:立位、座位ともに痛みからの逃避性の姿勢は見られない。
太っているわけでは無いが、お腹が出ている。
腰部前弯強い。

ROM:立位前屈の動き初めにピッと臀部に痛みが走るが、制限はなし。
座位腰部左回旋でL1付近に痛みと可動制限。

触診:L1棘突起に圧痛
L1-LP
左仙腸関節にハイパーモビリティ
左PSIS外側やや下に強い圧痛

整形外科学的検査:ケンプテスト(-)
SLR(-)
PTR・ATRともに正常

MMT:両拇趾背屈正常
両足関節背屈正常
左大腿直筋弱化
左大腿筋膜張筋弱化

腰椎の病変を示すような所見が見られなかったため、治療に入る事にしました。
座位での左腰部回旋時と立位前屈の始まりでのみ痛みが出ることから、大腿後面の痛みは殿筋群のトリガーポイントによる関連痛と考えた。左の仙腸関節のハイパーモビリティの安定が、トリガーポイントの関連痛を消失させると考え、以前から感じていた左大腿の痺れへのアプローチで四頭筋の筋力が回復することで、結果的に症状の改善につながるのではと考えた。

 

【アプローチ】
L1-LPに対し、座位でモビリゼーション
座位にて、左PSIS外側やや下の圧痛点に押圧を加えながら、腰部左回旋保持(約1分)
急性痛なのと、お腹のポッコリが気になったので、循環を良くするため、四肢の屈曲伸展を用いてリンパ・静脈のポンプ。

【施療後の評価】

L1棘突起圧痛残る
L1-LP可動性確認
左仙腸関節のハイパーモビリティ軽減
左PSISの圧痛かなり軽減
左大腿直筋筋力正常
左大腿筋膜張筋筋力正常
腰部前弯の軽減と合わせて、お腹のでっぱりも軽減。
座位での腰部左回旋時痛は減少。
肝心の左大腿後面の痛みは、まったく変わらないとの事。

主観にはなるが、軽快しているようには見えるため、次回の施療もこのまま継続の方針。
合わせて、大腿前面に感じていた痺れが消失していたため、Oさんの施療に対するモチベーションは維持できそうと感じた。

 

 

2回目
主訴:左大腿後面痛

痛みを聞いたところ、まったく変わらないとの事。しかし範囲を聞くと大腿後面が全体的に痛かったのが、外側ハムストリング部に限局している。
痛いものは痛いが、全体的なからだの調子のよさを感じられているようで、痛みに対して前向きな感情が見て取れた。

 

【検査所見】
視診:腰部前弯先日より軽減。

ROM:立位前屈の動き初めにピッと臀部に痛みが走るが、制限はなし。
座位腰部左回旋でL1付近に軽い痛みと可動制限。

触診:L1-2の棘間に圧痛
L2-LP
左仙腸関節にハイパーモビリティ
左PSIS外側やや下に圧痛

整形外科学的検査:前回特に異常が見られなかったので、行わず。

MMT:左大腿直筋弱化
左大腿筋膜張筋弱化

 

【施療計画】
症状は変わらないとお話しされていたが、前回は自発痛だったのが、大腿後面の動作痛に移行していた。前回の治療方針を継続しつつ、痛みの評価についての指導も含め、治療にあたる。

 

【アプローチ】
L2-LPに対し、座位でモビリゼーション→前回はL1の判断だったが、判断が間違えていたのか、部位が変わったのかは評価できない。
座位にて、左PSIS外側やや下の圧痛点に押圧を加えながら、腰部左回旋保持(約1分)
お腹のポッコリが、前回の治療後軽快しているように見えたので、引き続き四肢を利用してのリンパ・静脈のポンプを行う。

 

【施療後の評価】
L1-2の棘間の圧痛軽減
L2-LP可動性確認
左仙腸関節のハイパーモビリティ軽減
左PSIS外側やや下の圧痛軽減
立位前屈の動き初めの臀部痛残る
座位腰部左回旋時のL1付近の軽い痛みと可動制限は出ない。
左大腿直筋筋力正常化
左大腿筋膜張筋筋力正常化

色々と軽減していることは感じて下さっているが、とにかく痛みに集中しているような、痛みを探し出そうとしているような印象。あまり痛みに集中すると良くなるのが遅くなりますよとお伝えし、簡単なワーラー変性の説明とともに良くなってますよと後押し。

 

 

3回目
主訴:左大腿後面の重だるさと左臀部の動作痛

やはり痛みは全く変わらないとの事。今回も詳しく聞くと、大腿後面は重だるさに変わり、痛みは臀部に移動している。
まだ痛い痛いと口に出すが、すごく良くなっているとも言う。

 

【検査所見】
視診:お腹が出て見えるのが、へっこんだように感じる。

ROM:長く座って、立ち上がる際に痛みが出るとの事。この場では再現

触診:L2-LP
左仙腸関節にハイパーモビリティ
左PSIS外側やや下に圧痛、ただし以前より軽減しているよう

整形外科学的検査:ボンネー徴候(-)

MMT:左大腿直筋弱化
左大腿筋膜張筋弱化
左梨状筋弱化

 

【施療計画】
痛み自体は臀部に限局しているので、梨状筋症候群を疑い検査を行った所、梨状筋の筋力弱化が見られたが、SLR(ボンネー徴候)は陰性だったため、神経根症ではなく仙腸関節のハイパーモビリティ、臀部トリガーポイントの影響と考えこれまでの施療方針を継続、合わせて梨状筋を評価に加える。

 

【アプローチ】
L2-LPに対し、座位でモビリゼーション
座位にて、左PSIS外側やや下の圧痛点に押圧を加えながら、腰部左回旋保持(約1分)
四肢を利用してのリンパ・静脈のポンプを行う
左梨状筋にカウンターストレイン

 

【施療後の評価】
L2-LP可動性確認
左仙腸関節のハイパーモビリティ軽減
左PSIS外側やや下の圧痛は、ほぼ左右差無し
左大腿直筋筋力正常化
左大腿筋膜張筋筋力正常化
左梨状筋筋力正常化

施術後に初めて、痛くないと実感されていた。それでも無理に痛みを出そうとしていたため、また痛くなるからやめておきましょうと伝える。合わせて、梨状筋のホームサポートを伝えた(SOTO)

 

 

4回目
主訴:左臀部の動作時痛

基本的に痛みはない、ただしふいにピッと痛みが走るとの事。
ようやく良くなったと実感されている。
お腹がへっこんだのを人から指摘されたらしく、体重を計ったら2キロ減ったと喜んでいた。

 

【検査所見】
視診:お腹が出て見えていたのが、へっこんだ。

ROM:前回に続き、長く座って立ち上がる際に痛みが出るとの事。この場では、再現できず、動きの中で痛みも再現できない。

触診:L2-LP
左仙腸関節にハイパーモビリティ
左PSIS外側やや下に圧痛、ただし左右差を比べて初めて分かる位の痛み。

整形外科学的検査:前回異常が見られなかったので、行わず。

MMT:左梨状筋弱化

 

【施療計画】
前回、梨状筋の異常を疑い施療にあたったが、それが良い方に働いたように感じた。そろそろ卒業の感が出てきたので、メンテナンスでへの意向を考える

 

【アプローチ】
L2-LPに対し、座位でモビリゼーション
座位にて、左PSIS外側やや下の圧痛点に押圧を加えながら、腰部左回旋保持(約1分)
四肢を利用してのリンパ・静脈のポンプを行う。
左梨状筋にカウンターストレイン。

 

【施療後の評価】
L2-LP可動性確認
左仙腸関節にハイパーモビリティ軽減、ほぼ正常で評価
左PSIS外側やや下の圧痛は、ほぼ左右差無し
左梨状筋筋力正常化

ひとまず、ほぼ寛解の評価をさせていただいた上で、一応2週間後にご予約をいただく

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