糖代謝について
ブドウ糖は人間にとって最も重要なエネルギー源であり、血液中から全身に取り込まれます。
血中のブドウ糖濃度が高いときは、インスリンの作用によって肝臓や筋肉でグリコーゲンに変換され、
脂肪として蓄積されます。
⇒インスリンは別名『肥満ホルモン』とも呼ばれている。
一方で空腹時は、グルカゴン等のインスリン拮抗ホルモンが肝臓に蓄えられたグリコーゲンをブドウ糖に変換し
血中に供給、血糖値を上げます。
人間は空腹時を基本とした生存のシステムが優位に進化していますが、それは血糖値を上昇させるホルモンが複数あるのに対し、血糖値を下げるホルモンがインスリンに依存していることから読み取れます。
糖代謝がもとで不調を起こしている方は、糖化と言って、からだの代謝が下がっているため、炎症を起こしやすく傷などが治りにくいという特徴を持ってしまいます。それはカイロプラクティック施術の反応にも表れます。
糖で不調を起こしている可能性のある方は、このコラムをよくお読みいただき、カイロプラクティック施術を最大限生かすための、ライフスタイルの知識にしていただければ幸いです。
糖質を摂る事の矛盾
古代日本人は農耕民族であり、食物の獲得において環境の変化に左右されやすく、狩りを行うほかの民族より飢餓状態=低血糖状態を招くことが多かったと考えられる。
そのために日本人の代謝システムは穀類を中心とした食生活に適応するように、腸が長くゆっくりと消化・吸収することになりました。
ところが、近年多く摂られるようになった加工食品や、砂糖は構造が単純な(精製度が高い)ため、穀類等に比べると急激に血糖値を高めてしまいます。
その血糖値の急上昇を鎮めるためにインスリンが分泌され、急激な血糖値の下降=低血糖を起こします。
糖質は人間の重要なエネルギー源ですが、近年の食生活の変化で、簡単に糖質の過剰が起こってしまい、その血糖値の急上昇に対応すべくインスリンが働き、日常的に高血糖~低血糖の乱高下を繰り返し、からだがついていけず疲弊してしまいます。
これを『機能性低血糖症』と言います。
機能性低血糖症で起こる事
一般的によく見られる低血糖症は、空腹時低血糖症でしょうか?
現れる症状は、頻脈・冷汗・振戦(ふるえ)・顔面蒼白・痙攣・頭痛・筋肉や神経の異常、などがあげられます。
お腹が空きすぎて、ガクガクしている状態ですね。
では『機能性』がつくとどう変わるのでしょうか?
・しつこい疲労感、だるさ
・頭痛、めまい
・発汗、ふるえ
・動悸がする
・筋肉痛と腰痛
・胃腸の不調、食欲不振
・手足の冷え
・目のかすみや、痛み
・筋肉や神経の異常
・筋肉痛
・肥満
・集中力の低下
・落ち着けない
・ふらふらする
・やる気が起きない
・情緒不安定
・不眠
・イライラ、怒りっぽい
・急に泣きたくなる
・漠然と不安感や恐怖感を感じる
・急な失神やひきつけ
などが挙げられますが、どのくらい当てはまりますか?
思い当たる点が多いほど機能性低血糖症、もしくは予備軍の可能性は高くなるかと思います。
ここで注意していただきたいのが、機能性低血糖症は精神的な不調が起こる可能性があります。
脳は通常、糖のみをエネルギー源にしています。ですので血糖値の低下状態が続くことは、中枢神経系の栄養不足を起こし、障害を生じます。
お腹が空きすぎて、イライラするのがずーっと続く感じですかね。
そのイライラを抑えるため、血糖値を上げるべくお菓子やジュース、カフェインなどをからだが欲します。
口にすると糖の欲求が満たされるので、一旦スッキリして頑張れますが、またすぐに血糖値は下がり、同じサイクルに戻ります。
こうなると、完全に糖に振り回されている状態ですね。
どう対処すればいいの?
機能性低血糖症と言うのは、実はお医者さんにもあまり知られていない症状だそうです。
ですので一般に病院での低血糖症としての対応は、飴などの糖を摂る事で血糖値を通常に戻すことになります。
しかし機能性低血糖症の場合は、うまく血糖値のコントロールができなくなり、慢性的な低血糖に陥ってしまった身体なので、糖は厳禁です。過剰に糖を摂らなくても大丈夫な、もとの正常な状態を思い出させる。と言う事が必要になります。
ですので糖は減らす対象になります。
以下、なるべく食生活から減らしたいもの
・砂糖
お菓子、ジュース(ノンカロリーと書かれている清涼飲料水も)、料理に使う砂糖も上白糖は控えて甜菜糖や黒糖などに
・小麦粉製品
小麦粉は精製度が高い穀物(吸収されやすい糖質)のため、パン、ラーメンなどの麺類(そばは良い)、お菓子などを控えたい。食べる際も全粒粉のパンやビスケットが好ましい。
・カフェイン
カフェインには興奮作用があり、その作用とはアドレナリンが分泌されることを言い、アドレナリンの作用とは血糖値を上げることになります。カフェインは一時的に血糖値を上げスッキリしますが、疲労しているからだに鞭を入れて無理やり働かせていることと同じになり、余計に疲労が蓄積します。
機能性低血糖症の方は上に書いた、砂糖・小麦粉製品・カフェインを過剰に摂っている傾向が強いです。
好きで食べていると思っていても、糖を補給したくて摂っている場合も…
ただし、絶対食べていけないというわけではありません。糖はからだに必要な栄養素です。
チョコが食べたくなったら噛まないで、口の中でゆっくり溶かしましょう。
ラーメンのセットにライスやチャーハンは控えましょう。
ラーメン大盛の代わりに、チャーシューメンにしましょう。
コーヒーは一日2杯くらいで十分です。
クッキーが食べたくなったら、おせんべいを食べましょう。
機能性低血糖症とカイロプラクティック
機能性低血糖症は、膵臓の機能との関連が強いと考えられます。
当院では、膵臓の働きを助けるために
・カイロプラクティックでは、胸椎6番と膵臓の関連をみるため、問題があれば整える。
・内臓膜の緊張を緩和し、滑動性を高め膵臓のリンパ循環を良くする。
・糖の摂取が多いと、小腸に負担をかけていることが多いので、問題があれば小腸も合わせて整える。
・インスリンは内分泌系のため、自律神経とのかかわりが大きい。自律神経の働きを正常化するため頭蓋骨の歪みを見つけ、問題があれば整える。
・代謝を上げるために、たくさん酸素を吸えるよう胸郭を整え呼吸を楽にする。
・その他、細かい不調の違いに応じて施術。
機能性低血糖症は、不調の解消に少し時間がかかります。
しかし、あなたの努力次第では元気なからだを取り戻す日も遠くはありません。「治してもらいたい!」ではなく、「治りたい!」が大切です。
上記の施術は一例です。あなたの不調に合わせて、最善の技術を提供したいと考えていますので、ご不明点などありましたら、お気軽にお問合せください。